住宅政策 2007 12 30

 日本の住宅政策は貧困である。
いや、政治家と商業主義が、日本の住宅を貧困にしてしまった。
木造住宅は、そんなに脆い(もろい)のか。
 中仙道、妻籠宿。
若き日の思い出。
観光に行ったのではない。
木造建築を見に行った。
 今の日本には、200年住宅、いや100年住宅さえも無理か。
しかし、それが日本の伝統を破壊している。
 今さえ儲かれば、それでいいのか?
我々の子孫、100年後の日本人、200年後の日本人のことなんか、どうでもいいのか?
今の日本人は、後世の子孫のために働くという思想を捨ててしまった。
日本人は、商業主義のために、伝統を捨て、歴史を捨てた。
今さえ儲かれば、それでいい。それが日本の国是なのか?
 「貧すれば鈍する」
その言葉が、今の日本を象徴している。
バブル経済崩壊後、長期間に渡って続いた経済不況。
たとえ経済的に貧しくなっても、魂まで貧しくしてはいけない。

「町並み保存運動のはじまり
時代が変り明治になり鉄道や道路が新たに造られ、
宿場としての機能を失った妻籠宿は衰退の一途をたどりました。
やがて昭和になり経済成長の中、
江戸時代の宿場の姿を色濃く残している町並みが見直され、
ここに全国に先駆けて保存運動が起こったのです。
妻籠の人たちは町並みを守るために家や土地を
『売らない・貸さない・壊さない』という3原則をつくり、
ここで生活しながら、江戸時代の町並みという貴重な財産を後世に伝えているのです」
(妻籠観光協会 観光案内から)

商売と公共性 business and publicness 2005 12 2
 現代においては、商売と公共性というテーマは、難しいかもしれません。
言い換えれば、民間と役所というテーマになるかもしれません。
 私の愛用のカメラは、OM-1というカメラです。
当時、ベストセラーだったOM-1も、今は、知る人も少ないかもしれませんが、
いまだに、現役で使っているのです。
このカメラは、電子的な機能が、ほとんどなく、機械式なカメラと言えるでしょう。
だから、ほとんど故障がなく、手入れをすれば、何十年も使えるかもしれません。
 しかし、これが、カメラメーカーにとって、命取りになるです。
何十年も使えるカメラを作ってしまったら、何十年もカメラが売れないでしょう。
つまり、買い換えは、何十年も先になるでしょう。
これでは、カメラメーカーは、食べていけません。
 せめて、10年ぐらいで老朽化し、買い換えが起きるカメラの方が、
カメラメーカーにとって、経営上、望ましいと言えるでしょう。
 日本のカメラメーカーは、滅多に故障しないカメラを作った結果、カメラでは食べていけず、
医療機器や半導体機器、あるいは事務機器という分野に進出して、食べていくようになったのです。
 最近、ニュースで、日本の住宅の品質が、話題になっています。
もし、100年も耐久性がある住宅を作ったら、住宅産業は、食べていけなくなるでしょう。
30年ぐらいで老朽化する住宅の方が、住宅産業にとって、経営上、好ましいかもしれません。
消費者も、木造住宅だから、30年ぐらいで老朽化しても、あきらめがつくかもしれません。
 しかし、ここに、商業主義があると思います。
たとえ、木造でも、100年でも200年でも、耐久性があるのです。
それは、京都や奈良に行けば、わかるでしょう。
とてつもなく古い「木造の建物」が、たくさんあることに気づくでしょう。
 しかし、100年も耐久性がある住宅を作ってしまったら、
住宅産業は、ほとんど倒産してしまうかもしれません。
人口増加社会ならば、人口が増えていきますので、100年住宅でも、商売上成り立ちますが、
人口減少社会になると、100年住宅を作ってしまうと、商売上、苦しくなるでしょう。
 100年建造物や200年建造物は、商業的には、無理か。
年末が近くなって配布された、古都がテーマのカレンダーを見て、そう思います。
 住宅は、社会にとって、公共財ではないのか。
商業的に考えれば、住宅は、消耗品と考えるべきなのか。
 しかし、それでは、あまりに寂しい。
もう日本には、古くても伝統のある街並みは、不要なのか。















































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